活動レポート
【イスラム教】Eid-ul Adha(イード・アル=アドハー)/犠牲祭について
Eid Mubarak!(イード・ムバラク!)
今日はイスラム教における大きな祭典『Eid ul-Adha/犠牲祭』で、ムスリムが行うべき規範である五行の1つ「大巡礼/ハッジ」の最終日でもあります。
『Eid Mubarak』のEid(イード)とはアラビア語で「祝宴」を、Mubarak(ムバラク)は「おめでとう」を意味します。
犠牲祭という名前を聞くと少し怖いイメージを持たれるかもしれませんが、犠牲祭にはイスラム教の長い歴史と、敬虔な信仰が深く関係しています。
イスラム教の啓典としてコーランが有名ですが、実はユダヤ教の旧約聖書や、キリスト教の新約聖書も啓典として認められています。
犠牲祭の歴史的背景は、信仰の父として有名な「預言者イブラヒム」の物語が関係しており、イブラヒムが苦悩に苛まれながらも神の啓示に従い、息子イスマーイールを犠牲にしようとしたことが由来となっています。
犠牲祭はイブラヒムの忠誠心を称えるほか、動物を生贄として捧げ、神に感謝の気持ちを伝えるための祭典です。
また、犠牲祭には「喜捨/ザカート」と同様の目的もあります。
この喜捨も五行のうちの1つであり、財産に余裕のあるムスリムが一定の比率の金銭や現品を支払い、困窮している人々に富を分け与えます。
犠牲祭ではお金に余裕のある人が羊やヤギ、牛などの動物を買ってその肉を3当分し、1つは自分や家族のため、1つは親戚のため、最後の1つは恵まれない人たちのために分配されます。その肉はいかなる場合も販売することが許されていません。
犠牲祭で殺される動物は利益のために利用されるのではなく、人間が生きる上で欠かすことのできない「食べる」という行為の原点に立ち返って命の大切さと向き合います。
このような考えは、私たちが日々の生活で忘れてしまいがちな、生きる上で大切なことを思い出させてくれます。
本来であれば家族や友人、近所の方々と集まる盛大な祭典ですが、昨年に続き今年も新型コロナウイルスの影響で大規模なイベントは中止となっています。この状況が一刻も早く収まり、以前のような人々との交流の機会や日常生活が戻ることを祈ります。
皆様の身近にムスリムの方がおられたら、ぜひ「イード ムバラク!(イード祭おめでとうございます)」とあいさつをしてみてください。